FAX・PDFの注文書30枚を、71秒で受注一覧に。品番マスタと照合し、単価違い・短納期を確認事項に回す仕組み
取引先からFAXやメールのPDFで届く注文書を、AIが読み取って受注一覧に転記する仕組みを構築し、取引先8社・書式8種類の注文書30枚で検証しました。品番は自社の品番マスタとプログラムで照合し、単価の違い・短納期・二重送信などは、確認事項として知らせます。
概要
- 対象業務
- 取引先から届く注文書の読み取りと、受注一覧への転記
- 使用ツール
- Googleドライブ・Googleスプレッドシート・Claude(注文書の読み取り)・品番マスタ(Googleスプレッドシート)
- 検証データ
- 取引先8社・書式8種類の注文書30枚(FAX14枚・スキャン6枚・パソコンで作成したPDF10枚。明細90行)と、品番マスタ101品目
- 導入前の課題
- 注文書を見ながら、受注一覧(Excel)に品番・数量・単価・納期を手で入力している
- 品番が自社の品番と合っているか、単価が決めた価格どおりか、納期が間に合うかを目で確かめているため、時間がかかり、見落としも出る
- 同じ注文書が二重に届いても、気づかないと二重に受注してしまう
- 書式が取引先ごとに違い、日付の書き方や手書きの訂正も、人が読み取っている
- 成果
- 注文書30枚(明細90行)の読み取りにかかった時間は、71秒(5枚ずつ同時に処理。担当者の確認の時間は含まない)
- 受注一覧の810項目(90行×9項目)は、すべて正解と一致(手書きの書き込み5枚を含む)。読めない欄2か所は、空欄を正解として数えています
- 確認事項にすべき18件(マスタに無い品番4・単価違い5・短納期4・二重送信3・読めない欄2)をすべて検出
- 読めない数量2か所は、推測で埋めず空欄のまま確認事項に回した
- AIの利用料は、30枚で約102円(1枚あたり約3.4円)
注文書を見ながら受注一覧に手で入力し、品番・単価・納期も目で確かめている
部品や資材を売る卸売の会社で、営業事務が2名、取引先が工場・設備工事・電気工事などの会社の場合、1日に20〜40枚の注文書が、FAXとメールのPDFで届きます。書式は取引先ごとに違い、日付の書き方(2026年10月5日・令和8年10月5日・10/5など)や、納期が1行ごとか注文書に1つだけかも異なります。数量を手書きで直した注文書も届きます。
営業事務は、注文書を見ながら受注一覧(Excel)に品番・数量・単価・納期を手で入力し、品番が自社の品番と合っているか、単価が決めた価格どおりか、納期が間に合うか、同じ注文書がもう一度届いていないかも、目で確かめています。そのため時間がかかり、見落としも出ます。こうした受注入力を、担当者の目視と手作業だけに頼らない仕組みとして、本事例を構築しました。
構築した仕組み
注文書の集約から、営業事務による受注の確定までを、下記の7つの工程で構成しています。
- 1
注文書を1つのフォルダに集める
FAXの受信PDFと、メールに添付されたPDFを、Googleドライブの1つのフォルダに集めます。
- 2
AI(Claude)が注文書を読み取り
注文書1枚ずつの画像を読み、注文日・取引先・注文番号・届け先と、明細(品番・品名・数量・単価・納期)を取り出します。日付や納期の書き方が違っても、同じ形にそろえます。読めない字は推測で埋めず、空欄にして、読めなかった項目名を残します。
- 3
手書きの訂正は、訂正後の値を採用
印刷された数量や納期が線で消され、手書きで直されている時は、直した後の値を入れ、「数量を800から900に訂正」のように、何を直したかも残します。
- 4
プログラムが品番マスタと照合
品番を、自社の品番マスタ(品番・品名・単価・標準納期)と照らし合わせます。
- 5
確認事項を判定
決まった基準で、マスタに無い品番・単価の違い・短納期・二重送信・読み取れない項目を判定します。
- 6
受注一覧に書き出し
受注一覧(Googleスプレッドシート)に、1明細1行で書き出します。確認事項のある行は赤字にして「確認待ち」、無い行は「登録可」にします。
- 7
営業事務が対応して確定
確認事項のある行は、取引先に確かめる、マスタを直す、単価や納期を受け入れるか決める、といった対応を営業事務が行います。問題のない行は、確認したうえで受注を確定します。
品番の照合と確認事項の判定はプログラムで行い、AIは注文書の読み取りだけに使う
品番・単価・納期の判定は、毎回同じ基準で、同じ答えが出る必要があります。そのため、品番マスタとの照合、単価の比較、短納期・二重送信の判定、受注一覧の作成は、AIではなく、あらかじめ決めた手順で計算する専用のプログラムで行います。AI(Claude)を使うのは、書式がばらばらなFAXやPDFの注文書の読み取りです。
| 作業 | 担当 | 理由 |
|---|---|---|
| 注文書(書式がばらばらなFAX・PDF)の読み取り | AI(Claude) | 書式・日付の書き方・手書きの訂正が取引先ごとに違い、決まった枠では読み取れないため |
| 品番マスタとの照合、単価の比較 | プログラム | 毎回同じ答えが出る必要があるため |
| 短納期・二重送信の判定 | プログラム | 基準が決まっているため |
| 受注一覧の作成 | プログラム | 読み取った結果を、決まった形に並べるだけのため |
| 確認事項への対応、受注の確定 | 営業事務 | 取引先への確認や、価格・納期を受け入れるかの判断は、人が行うため |
検証で使った確認事項の決まり
- マスタに無い品番: 注文書の品番が、品番マスタにありません(新しい品番、書き間違いなど)。
- 単価がマスタと違う: 注文書の単価が、マスタの単価と違います。
- 納期が短い: 注文日から納期までの日数が、その品番の標準納期の日数より短いです。
- 二重送信の疑い: 同じ取引先・同じ注文番号の注文書が、すでに届いています。
- 読めない項目: 数量などが読めない項目は、空欄のまま確認事項にします。
- 自信が無い項目: AIが読み取りに自信が無いと印を付けた項目は、読み取った値のまま確認事項にします。
受注一覧と確認事項
受注一覧
読み取った注文書は、受注一覧に1明細1行で並びます。項目は、注文日・取引先・注文番号・品番・品名・数量・単価・納期・届け先・確認事項などです。確認事項のある行は、理由が赤字で出ます。
受注一覧(注文書から転記)
| 注文日 | 取引先 | 品番 | 数量 | 単価 | 納期 | 確認事項 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 10/05 | G社(プラント) | NT1260 | 1,250 | 17 | 10/07 | 単価がマスタと違う |
| 10/05 | C社(設備工事) | PJ-2150 | 7 | 1,980 | 10/08 | 納期が短い |
| 10/06 | B社(金属加工) | NT-1270 | (空欄) | 43 | 10/13 | 数量が読み取れない |
| 10/07 | D社(電装) | CB-5110 | 35 | 210 | 10/15 | |
| 10/13 | A社(機械部品) | BT-1085 | 1,800 | 150 | 10/22 | マスタに無い品番 |
| 10/22 | E社(工業資材) | CH-7030 | 7 | 12,800 | 10/29 | |
| 10/23 | F社(電気工事) | CB-5090 | 100 | 380 | 10/29 |
10/05G社(プラント)
品番NT1260
数量1,250
単価17
納期10/07
確認事項単価がマスタと違う
10/05C社(設備工事)
品番PJ-2150
数量7
単価1,980
納期10/08
確認事項納期が短い
10/06B社(金属加工)
品番NT-1270
数量(空欄)
単価43
納期10/13
確認事項数量が読み取れない
10/07D社(電装)
品番CB-5110
数量35
単価210
納期10/15
10/13A社(機械部品)
品番BT-1085
数量1,800
単価150
納期10/22
確認事項マスタに無い品番
10/22E社(工業資材)
品番CH-7030
数量7
単価12,800
納期10/29
10/23F社(電気工事)
品番CB-5090
数量100
単価380
納期10/29
確認事項
確認事項は、種類ごとに、注文書の内容とマスタの内容を並べて知らせます。営業事務は、確認事項のある行だけを取引先に確かめ、問題のない行をまとめて確定します。
確認事項
| 種類 | 注文書 | 内容 |
|---|---|---|
| 単価がマスタと違う | G社・NT1260(六角ナット M12 鉄ユニクロ) | 注文書 17円/マスタ 18円 |
| 納期が短い | C社・PJ-2150(真ちゅう製ボール弁 20A) | 注文日から3日(標準7日) |
| マスタに無い品番 | A社・BT-1085(六角ボルト M20×60 鉄ユニクロ) | 注文書の品番が、品番マスタにありません |
| 二重送信の疑い | C社・注文番号 S-0422 | 2枚目の注文書が、1枚目と同じ注文番号で、内容も同じ |
| 読み取れない項目 | B社・NT-1270(六角ナット M12 ステンレス) | 数量欄が読めないため、空欄のまま確認事項にする |
単価がマスタと違う
注文書G社・NT1260(六角ナット M12 鉄ユニクロ)
内容注文書 17円/マスタ 18円
納期が短い
注文書C社・PJ-2150(真ちゅう製ボール弁 20A)
内容注文日から3日(標準7日)
マスタに無い品番
注文書A社・BT-1085(六角ボルト M20×60 鉄ユニクロ)
内容注文書の品番が、品番マスタにありません
二重送信の疑い
注文書C社・注文番号 S-0422
内容2枚目の注文書が、1枚目と同じ注文番号で、内容も同じ
読み取れない項目
注文書B社・NT-1270(六角ナット M12 ステンレス)
内容数量欄が読めないため、空欄のまま確認事項にする
検証結果
注文書30枚(明細90行)の読み取りにかかった時間は、5枚ずつ同時に処理して71秒でした。担当者の確認の時間は含みません。受注一覧の810項目(90行×9項目)はすべて正解と一致し、確認事項にすべき18件はすべて検出できました。
| 検証した内容 | 正解の件数 | 結果 |
|---|---|---|
| 明細の行数 | 90行 | 30枚すべてで、行数が正解と一致 |
| 受注一覧の項目(9項目) | 810項目 | 810項目すべてが一致 |
| 手書きの書き込みがある注文書 | 5枚 | 5枚すべてを、書き込み後の値で読み取り |
| 確認事項: 読めない欄(数量) | 2か所 | 2か所とも空欄のまま確認事項に回した(推測で埋めた項目は0件) |
| 確認事項: マスタに無い品番 | 4件 | 4件すべてを検出 |
| 確認事項: 単価がマスタと違う | 5件 | 5件すべてを検出 |
| 確認事項: 納期が短い | 4件 | 4件すべてを検出 |
| 確認事項: 二重送信の疑い | 3件 | 3件すべてを検出 |
| 確認事項: 合計 | 18件 | 18件すべてを検出(見逃し0件) |
受注一覧の9項目は、注文日・取引先・注文番号・品番・品名・数量・単価・納期・届け先です。正解は、読み取りの仕組みとは別に、注文書を作る時に使った元のデータから作成した一覧です。注文書は、パソコンで作成したPDF、スキャン、FAXの3種類で、FAXは傾き・かすれのある画像です。手書きの書き込みがある5枚は、数量の訂正3枚、納期の訂正1枚、1行の追記1枚です。
AIが読み取りに自信が無いと印を付けた場合
正解の18件のほかに、AIが「読み取りに自信が無い」と印を付けた6件が、確認事項に加わりました。かすれや手書きのある行で、6件とも読み取った値は正しく、営業事務が目で確かめれば足りる項目でした。
検証の範囲は、注文書PDFの読み取りから、品番マスタとの照合、確認事項の判定、受注一覧の作成までです。Googleドライブへの注文書の集約と、受注を確定する画面は検証の対象外です。取引先の名前は、注文書に印字された名前のまま写しています。取引先1社は社名を「株式会社」なしで印字しており、印字どおりの社名を正解としています。印字された名前と取引先マスタの名前をそろえる処理は、別に要ります。
導入について
本事例と同規模の仕組みは、AIコンサルティングとして10万円(税別)から構築します。操作説明と手順書も含みます。構築後の運用相談や改修を継続してご依頼いただく場合は、「後藤、貸します。」(月10万円・月15時間から、税別)で対応します。
別途、AIの利用料がかかります。今回の検証では、注文書30枚の読み取りで約102円、1枚あたり約3.4円でした(2026年10月時点の料金での試算)。必要な契約は、AnthropicのAPI、Googleドライブ・Googleスプレッドシートを利用できるGoogleアカウントです。
FAXの受信PDFとメールの添付PDFをGoogleドライブに集める仕組み、品番マスタの整備、受注を確定する画面は、導入時に貴社の環境に合わせて構築します。確認事項の基準(短納期とみなす日数など)は、導入時に貴社の取引条件に合わせて決めます。どの取引先から始めるかは、入力にもっとも時間がかかっている取引先をもとに決めます。見積書や発注書など、ほかの帳票にも同じ方法を使えるかは、書式をうかがったうえで判断します。
よくあるご質問
Q手書きで訂正された注文書も読み取れますか?
検証では、数量・納期を手書きで訂正した4枚と、手書きで1行を追記した1枚の計5枚を、すべて訂正後の値で読み取りました。汚れや塗りつぶしで読めない欄は、空欄のまま確認事項にします。
Q読み取りを誤ることはありますか?
検証した30枚では、読み取りの誤りはありませんでした。ただし、実際の注文書は、かすれや傾きの状態が取引先ごとに異なります。読み取りに自信が無い項目は、AIが印を付けて確認事項に回し、営業事務が目で確かめます。検証でも、そうした印の付いた6件が、確認事項に加わりました。
Q同じ注文書が2回届いた場合は、どうなりますか?
同じ取引先・同じ注文番号の注文書がすでに届いている場合は、二重送信の疑いとして確認事項に回します。検証では、3件すべてを検出しました。
Q取引先の書式が増えた場合は、どうなりますか?
検証では、書式ごとの設定を作らず、同じ指示で8種類の書式を読み取りました。新しい書式で読み取りに自信が無い項目は、確認事項に回ります。
Q取引先の注文書をAIで処理しても問題ありませんか?
検証でAIに送ったのは、注文書の画像です。処理には、Claudeの画面ではなく、AnthropicのAPI(自社のシステムからAIを利用する仕組み)を使用します。Anthropicは、APIで送信されたデータを、利用者が許可しない限りAIの学習に使用しないと公表しています。AIで処理する注文書の範囲は、無料相談の段階で一緒に決めます。
貴社の受注入力でも実現できるか、30分でお答えします
現在の注文書の届き方、受注一覧の運用、品番・単価・納期の確認の方法をうかがい、自動化できる範囲と費用の目安をお伝えします。
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