

この記事を書いた人
後藤 佑輔
IGS代表大和証券・アクセンチュアを経て、2023年にIGSを設立。非エンジニアながらClaude Codeで自社業務の多くを自動化し、AI事業開発を行っている。
Threads @yuigs_aiおはようございます。代表の後藤です。
以前、弊社が「8部署・21名のAI社員」チームをClaude Codeで作った話を書きました。すると、ありがたいことに「どうやって1人を21人に増やすんですか?」という質問をよくいただくようになりました。
確かに、「実在しているモノ」ではなく、抽象的な概念なのでイメージしづらいと思います。
また、一般的なAIの使われ方として、「1人のAIに全部やらせようとする」という方法がありますが、だいたいパンクしてしまいます。記事も書いて、経理も見て、SNSも考えて、と詰め込むと、だんだん指示が混ざって精度が落ちる。
で、その改善策としてお伝えしたいのが、今回の主役「サブエージェント」という仕組みです。この記事では、サブエージェントとは何か、なぜ専門AI部下を量産できるのか、非エンジニアでも作れる手順までお話しします。
※本記事は全3回シリーズ「1人社長のAIチームの作り方」の第1回です(①サブエージェント → ②エージェントチーム → ③オーケストレーション)。
そもそもサブエージェントとは?
ものすごくシンプルに言うと、メインのAIが、必要なときに呼び出す「専門の部下」です。
普段、私がClaude Codeに話しかける相手が「メインのAI」だとすると、サブエージェントは、その横に控えている専門スタッフのイメージです。「この調査やっといて」とメインのAIに頼むと、メインのAIが調査担当のサブエージェントを呼び出して、作業をやらせて、結果だけ受け取ってくる。
ポイントは、サブエージェントが「自分専用の頭脳」を持っていることです。
人間の会社でも、社長が全部の作業を自分の頭で抱えると、頭がいっぱいになりますよね。だから担当者に任せる。サブエージェントも同じで、調査は調査担当の中だけで完結させて、メインのAIには「結論」だけ返す。こうすると、メインのAIの頭(専門用語ではコンテキストと言います)が散らからずに済みます。
なぜ「1人に全部」ではダメなのか
最初、私もメインのAI1人に全部頼んでいました。でも、こうなります。
- 頭がいっぱいになって、精度が落ちる。
AIには「一度に覚えていられる量に限界」があります。記事執筆の指示、経理のルール、SNSの方針を全部1つの頭に詰め込むと、途中で前半を忘れたり、別の仕事の文体が混ざったりする。
- 専門性が薄まる。
「なんでもできる人」は「広く浅くになりがち」です。SEOならSEOの判断基準、経理なら経理のルールに集中させたほうが、アウトプットの質が上がります。
そこでサブエージェントの出番です。役割ごとに別々の頭を用意して、その仕事だけに集中させる。これが「専門AI部下」の正体です。
メインのAIとの違い(受け身か、任せられるか)
整理すると、こうなります。
- メインのAI:あなたが直接話す相手。全体の司令塔
- サブエージェント:メインのAIが呼び出す専門スタッフ。任された仕事を自分で行い、結果を返す
たとえば「競合5社を調べて」と頼むと、メインのAIが調査担当のサブエージェントを起動して、調査担当が黙々とWebを見て回って、最後に要点だけまとめて返してくる。社長が部長に振って、部長が現場で動いて、報告だけ上がってくる。あの流れと同じです。
AIエージェントそのものの考え方は、こちらの記事でも解説しています。
サブエージェントの作り方(非エンジニアでもできる)
「仕組みはわかったけど、難しそう」と思いますよね。ですが、意外とシンプルです。
弊社が使っているClaude Codeでは、専用のフォルダに「職務記述書を1枚置くだけ」で、サブエージェントが1人できあがります。プログラミングは要りません。中身はただのテキストです。
たとえば「SEO調査担当」のサブエージェントは、こんな感じです。
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name: seo-researcher
description: 検索順位やキーワードを調べるときに使う
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あなたはIGSのSEO調査担当です。
## 役割
- 検索順位の分析 / キーワード調査
## 使うツール
- Google Search Console / GA4
## 判断の方針
- 検索ボリュームより「検索意図」を優先する
## やってはいけないこと
- 確証のない数字を、事実として書かない上の数行(descriptionなど)が「この部下は何が得意で、いつ呼ぶか」の名札。その下が「どう仕事してほしいか」の指示書です。これを保存しておくと、メインのAIが「お、これはSEOの仕事だな」と判断して、自動でこの担当を呼び出してくれます。もちろん「SEO担当に調べさせて」と名指しすることもできます。
書き方のコツは、会社全体のルールを書くCLAUDE.mdと同じで、手順の丸暗記ではなく「方向性」を書くこと。「こういう方針で動いて」と伝えておけば、状況に応じて柔軟に判断してくれます。
「並列」で動かせる。これが量産の本当のうまみ
サブエージェントの一番おいしいところは、複数を同時に動かせることです。
人間なら、1人の部下に5件の調査を頼んだら、1件ずつ順番にやるしかありません。でもサブエージェントなら、調査担当を5人同時に立ち上げて、5件を一斉に進められる。
弊社では実際に、自社サイト群の事実チェックを、複数のサブエージェントに同時に分担させたことがあります。1サイトずつ順番に見ていたら何時間もかかるところが、並行で走らせると一気に終わる。しかも各担当が別々の頭なので、混ざらない。
この「同時並行」が効くので、1人社長でも"チームで動いている"感覚が出ます。
「社員を雇わずに、忙しい時だけ専門スタッフを何人も立ち上げて、終わったら解散する」
こういう働き方ができます。複数のAIに自動で仕事を任せる例は、1人社長がClaude Code × MCPで業務を自動化している話でも紹介しています。
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無料で相談するやってみてわかった3つのコツ
1. 最初は1人から
いきなり何人も作ろうとすると挫折します。まずは一番手間のかかっている作業を1つ選んで、その担当を1人だけ作る。うまくいったら2人目、と増やしていくのが結局いちばん早いです。弊社も最初は数人から始めました。
2. 「やらないこと」を書くと事故が減る
「やってください」より「やらないでください」のほうが効きます。「確証のない数字を書かない」「勝手にファイルを消さない」と書いておくと、暴走しにくくなります。
3. 最終チェックは人間がやる
サブエージェントは優秀ですが、最終判断は必ず人間にしています。AIが8割やって、人間が2割で仕上げる。今のところ、このバランスが一番うまく回っています。
サブエージェントを使うのに必要なもの
- Claude Code:Claudeの有料プラン(Proプランなら20ドル=約3,000円/月)で使えます
- 任せたい仕事の言語化:何を、どんな基準でやってほしいかを整理する
プログラミングの知識は不要です。必要なのは「自分の仕事を人に説明する力」だけ。これは人間の部下に仕事を教えるのと同じスキルです。
よくある質問
Q. サブエージェントとCLAUDE.mdは何が違う?
A. CLAUDE.mdは「会社全体のルール(全員が読む就業規則)」、サブエージェントは「担当者ごとの職務記述書」です。全体ルールの上に、役割ごとの専門スタッフを乗せるイメージです。
Q. 何人まで作れる?
A. 実用上は気にしなくて大丈夫です。弊社は21の役割を運用しています。ただし、いきなり増やすより1人ずつ育てるほうが失敗しません。
Q. 同時に動かすと料金は高くなる?
A. 使った分だけなので、動かす数が増えれば相応に増えます。とはいえ人を雇う費用と比べれば桁違いに安く、弊社は月額数千円のプラン内で運用できています。
Q. 非エンジニアでも本当に作れる?
A. 作れます。職務記述書はただのテキストです。むしろ「業務を言葉にする力」のほうが大事で、これは経営者が得意な分野です。
まとめ
サブエージェントは、メインのAIが呼び出す「専門の部下」です。役割ごとに別々の頭を持たせて、必要なときに何人も並列で動かせる。だから1人社長でも、AI社員を"量産"できます。
弊社の21名のAIチームも、最初の1人から始まって、サブエージェントを増やしながら今の形になりました。まずは一番手間のかかる仕事を1つ、AIの専門部下に任せてみてください。
次回(第2回)は、このサブエージェントの一歩先、AI同士がチームを組んで連携する「エージェントチーム」の話をします。実際に、弊社のサイト群の事実チェックをAIチームにやらせて、人間が見落としていた誤りを見つけた実例も紹介する予定です。
サブエージェントやAIチームの作り方で迷っている方は、お気軽にご相談ください。弊社の実体験をベースに、あなたの業務に合った形を一緒に考えます。


