

この記事を書いた人
後藤 佑輔
IGS代表大和証券・アクセンチュアを経て、2023年にIGSを設立。非エンジニアながらClaude Codeで自社業務の多くを自動化し、AI事業開発を行っている。
Threads @yuigs_aiこんにちは。代表の後藤です。
このブログでは、「AIに仕事を任せる話」をいろいろ書いてきました。専門の部下を1体つくる「サブエージェント」、役割の違うAIを連携させる「エージェントチーム」、その段取りを自動で指揮する「オーケストレーション」。ここまで来ると、AIに任せられる仕事がどんどん増えていきます。
で、増えてくると、今度は他の悩みが出てきます。AIが何体もいるのに、「あれ、これってどのAIに頼むんだっけ」と、自分のほうが混乱し始めるんです。
人間の会社なら、これを「部署」で解決していますよね。経理のことは経理部、集客のことはマーケティング(営業)部。役割ごとにまとまっているから、迷わず頼める。
今回は、その発想をそのままAIに持ち込む話です。弊社では、AIたちを12の部署・合計24名の組織として束ねています。この記事では、その中身と作り方を公開します。
そもそも「AIを部署にする」とは?
ひとことで言うと、「バラバラに増えていったAIを役割ごとに集約」→「会社の組織図の形に並べる」ことです。
AIを1体ずつ作っていくと、最初は「サイトを作るAI」「リサーチするAI」くらいで覚えていられます。
ですが5体、10体と増えると、もう頭の中で管理しきれません。「あの作業、似たようなAIが2つあった気がする」みたいなことが起き始めます。
そこで、人間の会社とまったく同じように、役割の近いAIを「部署」でまとめます。こうすると、頼むときも「マーケのことはマーケ部に」で済むようになります。AIの数が増えても、迷わなくなるわけです。
最初の1体の作り方そのものは、AIエージェントの作り方で詳しく書いています。
今回はその「1体」が増えてきた先の、組織として束ねる話だと思ってください。
なぜ「AIを1体ずつ増やすだけ」だと、かえって回らなくなるのか
最初は私も、必要になるたびにAIを1体ずつ足していました。
でも、数が増えてくると、こうなります。
- どのAIに頼めばいいか、自分で分からなくなる。
これが一番大きいです。せっかく作ったのに、存在を忘れて「また同じようなのを作る」が起きます。覚えておくコストが、作るコストを上回ってきます。
- 似た役割が重複して、無駄が増える。
「ブログを書くAI」と「SNSを書くAI」を別々に育てていたら、文章のルールがバラバラになっていた、ということが起きます。本来まとめて持つべき方針が、あちこちに散らばってしまう。
- 指示がその都度バラバラになり、品質にムラが出る。
頼むたびに言い方が変わると、出てくるものも変わります。人間の部署なら「うちの部はこういう方針」が共有されていますが、それがAIにないと、毎回ゼロから説明することになります。
部署にまとめると、この3つがまとめて解消します。役割の地図ができるので頼み先に迷わず、方針を部署ごとに1か所へ集約でき、品質も安定します。
弊社のAI組織図(12部署・24名を公開)
実際に弊社が組んでいる組織が、これです。

中身はこうなっています。
- 経営企画部(2名):戦略づくり、財務・数字の管理
- プロダクト部(2名):自社サービスの企画、使い勝手の改善
- コンテンツ部(2名):ブログ・note等の執筆、編集・校正
- 映像・デザイン部(2名):動画・リール制作、スライド・画像デザイン
- 開発部(3名):サイト開発、コードレビュー、セキュリティ点検
- マーケティング部(3名):SEO、SNS運用、集客
- 営業・提携部(2名):提案・商談、外部との提携
- Claude事業部(2名):Claude導入支援、コミュニティ運営
- リサーチ・データ部(3名):調査、競合ウォッチ、データ分析
- 自動化・運用部(1名):毎日の自動処理・基盤の運用
- 顧客対応部(1名):問い合わせ対応、既存のお客様フォロー
- コーポレート部(1名):社内の記録・ルールの整備
人間で揃えようとしたら、何人も採用が必要な構成です。これを1人社長が、AIの「部署」として持っている。何を任せているかの全体像は、一人社長がClaude Codeで会社を回す方法のほうに、仕事の単位でまとめています。
AIの部署の作り方(非エンジニアでもできる)
「組織図を作る」というと大ごとに聞こえますが、やることはとてもシンプルです。
弊社が使っているClaude Codeでは、部署はフォルダ、社員はその中の1ファイルで表現できます。たとえば「マーケティング部」というフォルダを作り、その中に「SEO担当」「SNS担当」のファイルを置く。それだけで組織の形になります。
社員1人にあたるファイルには、難しいことは書きません。書くのは、次の3つくらいです。
- この担当が何をする人か(例:SNSの投稿ネタを考えて下書きを作る)
- 誰と連携するか(例:文章のトーンはコンテンツ制作部に合わせる)
- やらないこと(例:投稿は自動でせず、必ず人間の確認を通す)
人間の部下に渡す「職務記述書」を、1枚書くイメージです。これを部署のぶんだけ用意すれば、組織のできあがりです。
呼び出すときは、担当者を名前で呼ぶだけ。「ライターさん、この内容で記事の下書きを作って」「リサーチ、この業界の競合を調べて」という具合に、人間の部下に頼むのと同じ感覚で指示できます。プログラミングは要りません。必要なのは、自社の仕事を役割で分けて、言葉で書き起こす力だけです。
やってみてわかった3つのコツ
1. いきなり全部署を作ろうとしない
最初から完璧な組織図を描こうとすると、必ず止まります。弊社も、最初は2〜3人から始めました。いま自分が一番任せたい仕事から、その担当を1人作る。それで回り出してから、足りない役割を足していく。この順番が、結局いちばん早いです。
2. 1ファイルに「やらないこと」も必ず書く
役割だけ書くと、担当どうしの仕事がかぶります。「これはこの担当の仕事」「これはやらない」まで書いておくと、棲み分けがはっきりして、無駄な重複が消えます。とくに「勝手に公開しない」「お金が絡む操作はしない」のような線引きは、最初に書いておくと安心です。
3. 完璧な定義より、運用しながら足す
担当の説明文は、最初から作り込まなくて大丈夫です。実際に何度か頼んでみると、「ここはもっとこう言ってほしい」が見えてきます。そのときに書き足せばいい。使いながら育てるのが、生きた組織にするコツです。
AI活用や業務改善について、お気軽にご相談ください
無料で相談するAIの部署を作るのに必要なもの
- Claude Code:Claudeの有料プラン(Proプランなら20ドル=約3,000円/月)
- 自社の業務を役割で分ける整理:どんな担当が欲しいかを、仕事の単位で書き出す
特別なツールは要りません。むしろ大事なのは、後者です。これは「どんな人を採用して、どう役割分担するか」を考えるのと同じ作業なので、経営者の方はわりと得意な領域だと思います。
よくある質問
Q. AIの部署は、何体くらいから作る意味がありますか?
A. 3〜4体を超えたあたりからです。それくらいになると「どれに頼むんだっけ」が始まるので、役割でまとめると一気に楽になります。逆に1〜2体なら、まだ部署にしなくても管理できます。
Q. プログラミングは必要ですか?
A. 要りません。部署はフォルダ、担当は1ファイルで、中身は言葉で書くだけです。「何をする担当か」を日本語で説明できれば作れます。
Q. 部署を分けると、かえって管理が大変になりませんか?
A. 逆です。バラバラにAIが増えていくほうが管理は大変になります。部署にまとめると、方針を1か所に集約できるので、むしろ手間が減ります。
Q. 1人の会社でも、組織にする意味はありますか?
A. あります。むしろ1人社長ほど効果が大きいです。人を採用せずに、必要な役割を「部署」として持てるからです。弊社も1人ですが、12部署を動かしています。
まとめ
AIの部署化とは、バラバラに増えたAIを役割ごとにまとめて、会社の組織図の形に並べることです。部署はフォルダ、担当は1ファイル。中身は「何をする人か・誰と連携するか・やらないこと」を言葉で書くだけで、プログラミングは要りません。
AIが増えてきて「どれに頼むんだっけ」と感じ始めたら、それが組織化のタイミングです。まずは、いま一番任せたい仕事の担当を1人作るところから始めてみてください。それが、1人でも会社のように動かせるAI組織への第一歩です。
AI組織の作り方や、自社に合った部署の切り方で迷っている方は、お気軽にご相談ください。弊社の実体験をベースに、一緒に考えます。


