

この記事を書いた人
後藤 佑輔
IGS代表大和証券・アクセンチュアを経て、2023年にIGSを設立。非エンジニアながらClaude Codeで自社業務の多くを自動化し、AI事業開発を行っている。
Threads @yuigs_ai代表の後藤です。
今日は少し毛色の違うニュースから入ります。
先週、Claudeに「振り返り」の機能が追加されました
2026年7月9日、AnthropicがClaudeに新しい機能を追加しました。名前は「Reflect(リフレクト)」。日本語にすると「振り返り」です。
これまでのClaudeは「頼んだことをやってくれるAI」でした。しかし、Reflectは少し違います。
自分がAIをどう使ってきたかを、AI自身に振り返らせる機能です。
具体的には、こんなことができるそうです。
- 過去1・3・6・12ヶ月の利用パターンを見える化する
- よく出てくる話題や、作業の傾向をまとめて出す
- 利用が集中している時間帯を教えてくれる
- 静かにしてほしい時間帯(静穏時間)を設定できる
- 使いすぎている時に休憩を促す通知を出す
さらに、この振り返りは
- Delegation(任せる)
- Description(説明する)
- Discernment(見極める)
- Diligence(丁寧に確認する)
という4つの観点(4D AI Fluency Framework)で整理されるとのことです。単に「使った回数」を出すのではなく、AIとどう協働しているかを映す設計になっています。
提供は、Free・Pro・Maxのユーザーで、Memory機能をオンにしている場合に使える公開ベータ版とのこと。ClaudeのWebまたはデスクトップアプリの設定から「reflect on your usage」を選ぶだけで始められるそうです。
ちなみに弊社では、まだこの機能をあまり試していません。
ただ、この発表を見て「あ、うちも似たようなことをやっている」と思いました。
実は、弊社も毎週AIの使い方を振り返っている
弊社の日々の仕事は、かなりの部分をAIに任せています。
「文章を書く」
「リサーチをする」
「開発する」
どれもAIが手を動かしています。
ただ、AIにも得意不得意や「向き不向きな仕事」があります。
「判断が絡む重要な作業」は一番良いAIに任せたい。一方で、「単純な調べ物や量の多い作業」まで同じAIにやらせると、あっという間に使える量の上限に達してしまいます。
そこで弊社では、作業の重さによって使うAIを使い分ける運用にしています。任せ方の考え方は、以前の記事「AIエージェントの作り方」にまとめました。
で、使い分けを決めただけでは終わりません。
「実際にどのAIが、どれくらい動いていたか」を、週に1回、数字で確認する仕組みも作りました。
毎週月曜に集計するようにしています。
Reflectが使う「4つのD」は、そのまま経営者の診断軸になる
ここからが本題です。
Reflectの振り返りは、4D AI Fluency Frameworkという枠組みに沿って整理されます。
これはAnthropicが単独で作ったものではなく、Rick Dakan教授とJoseph Feller教授との共同開発で、公開されているフレームワークです。
中身は、AIを使いこなす力を4つに分解したものです。
公式の定義はこうなっています。
- Delegation(任せる):目標を決め、AIを使うのかどうか・いつ・どう使うかを決める
- Description(説明する):やってほしいことを、AIに正しく伝える
- Discernment(見極める):出てきたものが使えるかどうかを、正しく judgeする
- Diligence(責任を持つ):AIを使ってやったことの責任を、自分が持つ
正直、最初にこれを見たときは「よくある横文字の整理だな」と思いました。ただ、自社に当てはめてみると、これはかなり使える診断軸でした。
経営者が「自社を点検する質問」に置き換える
では、上記4つのDを「経営者が自社を点検する質問」に置き換えてみます。
なお、各項目をどう噛み砕くかは公式に決まった型があるわけではないので、ここから先は弊社の解釈です。
1.Delegation(任せる):何を任せて、何を任せないか決まっているか
これが弱いと、「何でもAIに投げてしまう」もしくは「逆に怖くて何も任せられない」の両極端になり、あまり成果は出ません。
弊社の場合は、「判断が絡む重い仕事」と、「単純な調べ物や量の多い作業」とで、使うAIを分けています。また、「これは任せない」と決めている仕事もあります。
点検する質問
- 今AIに任せている業務を、3つ即答できますか?
- 逆に「これは絶対に任せない」と決めている業務はありますか?
2. Description(説明する):毎回、同じ説明を書き直していないか
AIの成果物が安定しない会社は、ここが原因であることが多いです。
指示が毎回ブレていれば、出てくるものも毎回変わります。
弊社では、会社のルール・禁止事項・文章の癖などをCLAUDE.mdというファイルに書いておき、AIが毎回それを読んだ上で作業する状態にしています。
点検する質問
- 同じ前提説明を、毎回ゼロから打ち込んでいませんか?
- 新しく人(やAI)が入った時に渡す「うちのルール」は、文章になっていますか?
3. Discernment(見極める):AIの答えを、誰が確認していますか
AIは、平気で間違えます。しかも自信満々に間違えます。弊社も一度、AIの報告をそのまま信じて痛い目を見ました(AIは平気で嘘をつくに書いた通りです)。
弊社では、重要な作業ほど「作らせたAIとは別のAIに、確認させる」ようにしています。作った本人に検算させても、同じ間違いを見逃すからです。
点検する質問
- AIが出した数字や文章を、そのまま社外に出していませんか?
- 「誰が」「どうやって」確認するかは決まっていますか?
4. Diligence(責任を持つ):「AIがやりました」は通用しない
4つの中で、経営者が一番重く受け止めるべきはここだと思っています。
AIが何をしようと、責任を取るのは自身(もしくは会社)です。
弊社では、取り返しのつかない操作(データの削除など)はAIが実行しようとしても機械的に止まる仕組みを入れています。そして、記事の前半で書いた「毎週月曜にAIの使用状況を数字で確認する」のも、このDiligenceにあたります。任せたきりにせず、実際どう動いたかを見る、ということです。
点検する質問
- AIが取り返しのつかない操作をしようとした時、止まる仕組みはありますか?
- AIに任せた仕事の結果を、定期的に見ていますか?
AI活用や業務改善について、お気軽にご相談ください
無料で相談する「AIの使い方を振り返る」のは、経営そのものだと思う
人を雇っていれば「普段どんな仕事ぶりか」について、1ON1の実施などにより気にかけると思います。
「指示した通りに動けているのか」
「はたまた能動的に業務を行えているのか」
「逆に無理をさせすぎていないか」
AIも同じです。指示した通りに動いているつもりでも、実際は違う動き方をしていることがある。それに気づく手段を持っているかどうかで、任せられる範囲は変わってきます。
Reflectは、Anthropicがその手段を標準機能として用意した、ということなんだと思います。弊社は先に自作の仕組みで似たことをやっていましたが、公式機能として使えるようになっているので、是非皆さんも試してみてください。
AIの使い方を定期的に見直す仕組みづくりに興味がある方は、お気軽にご相談ください。
小さな仕組みからでも、見える景色は変わります。
FAQ
Q. Reflectは無料でも使えますか?
A. Free・Pro・Maxのプランで、Memory機能をオンにしていれば使える公開ベータ版として提供されています(2026年7月9日時点)。
Q. Reflectを使うとAIの利用料が下がりますか?
A. いいえ。Reflectは利用パターンを振り返るための機能で、料金や請求を直接管理する機能ではありません。使い方を見直すきっかけにはなります。
Q. この記事の会社では、Reflectを実際に使っているのですか?
A. 記事執筆時点では、まだ試していません。弊社が普段やっているのは、自作の仕組みで週1回AIの使用状況を数字で確認する取り組みです。Reflectは今後試してみたいと思っています。
Q. AIの使い方を振り返るのに、専門知識は必要ですか?
A. 必要ありません。大事なのは「どのくらい」「どんな作業を」任せているかを、定期的に確認する習慣です。集計そのものはAIに任せることもできます。


