代表ブログ一覧に戻る

AIを社内で共有したい~中小企業がチームでAIを使う現実的な方法~

AIを社内で共有したい~中小企業がチームでAIを使う現実的な方法~

こんにちは、代表の後藤です。

最近、AIの話題が増えているおかげか、

AIを社内で使えるようにしたいんだけど、どうすればよい?どんな方法があるの?

という質問をいただくことがかなり多くなりました。これは本当に良いことだなと思っています。

少し私の考えをさせていただきます。

まず、個人的には「無駄な作業」というのは根絶したほうが良いと思っています。私の性格が「イケイケどんどんではない」というパーソナルな面もあると思いますが、「ミスの温床」になりますし、何より「情報漏洩などのセキュリティ事案」につながる恐れがある。

一度失ってしまった信用を回復させるのはとんでもない労力がかかる。これは経営者の皆さんであればもちろんわかっていると思います。

ただ、業務改善というのはかなりの労力がかかるので、着手できていないというのが現状ではないでしょうか?

「すべての業務棚卸」→「問題が発生している業務の特定」→「その問題がなぜ発生しているのか原因究明」→「打ち手の立案」→「検証・改善策実行」というプロセスをたどる。これは普段の業務を行いながらこなせる量ではないと思います。

しかし、AIにより「業務改善」がフォーカスされている今だからこそ取り組んでほしい。多くの会社ではAIを使わず業務フローの整理などだけでも改善できるケースは多分にあります。

また、AIの社内活用はまだ皆さん取り組んだばかりではないですか?それであれば、初期にルール化を絶対に取り組むべきです。業務と同じで、始めてしまってから改善するのは時間がかかります。

すみません、かなり前置きが長くなりましたが、これが私の想いです。

それでは解説していきます。

こんな状態ではないですか?

これは少し大げさな例ですが、Aさんは自腹でChatGPT Plusを契約している。Bさんは無料版のGeminiをたまに使っている。社長はClaude Maxをガンガン使っている。ここまでではなくとも、社員のメンバー全員が同じAIを使っていなかったり、ルールが統一されていない。

これ、私は「野良AI状態」と呼んでいるのですが、多くの中小企業がこうなっているのではないでしょうか。ただし、この状態は結構なリスクがあります。

リスク1:セキュリティの問題

個人契約のAIツールに、会社の機密情報を入力している可能性があります。個人プランだと入力データがAIの学習に使われるケースもあるので、これは防ぐ必要があります。クライアント情報や社内の数字をそのまま入力していたら、情報漏洩のリスクになり得ます。

※少し文脈は変わりますが、最近「シャドーAI」という”会社に申請せず無断で使用しているAI”が問題視されています。理由としては、会社が問題を検知できないので、情報漏洩リスクなどが跳ね上がるからです。

リスク2:ナレッジが属人化する

例えば、Aさんが「カスタムGPT」や「プロンプトのテンプレート」を作ったとします。これらの情報は、Aさん個人のアカウントに紐づいているので、他のメンバーは使えません。Aさんが退職したら、そのナレッジは丸ごと消えます。

リスク3:コストが見えない

誰が何にいくら払っているか、会社として把握できていない。経費精算で初めて「え、こんなに使ってたの?」となるパターンです。

ではどうすればいいのか。段階的にチーム化を進めるのがおすすめです。

①まずは全員に同じAIを触らせる

最初にやるべきは、「野良AI状態の解消」です。バラバラのツールを使っている状態を、まず1つに統一する。

これ、いきなり有料プランを契約する必要はありません。

「うちは全員ChatGPTで統一する」「Geminiで統一する」と決めるだけで十分です。無料版でも構いません。全員が同じAIを使っているだけで、「使い方を教え合える」「同じプロンプトを共有できる」「AIに入力していい情報のルールを統一できる」と、野良状態よりはるかにマシになります。

まずここから始めるだけで、セキュリティリスクとコストの不透明さはかなり改善します。お金も不要です。

②「使える人のノウハウ」をチームに共有する

全員がAIに触り始めると、次に起きるのが「Aさんのプロンプトめっちゃ使えるんだけど、みんなにも共有したい」という問題です。

ここで便利なのが、ChatGPTのカスタムGPTという機能。「自社の製品情報を学習させたGPT」や「提案書のフォーマットに沿って出力してくれるGPT」を1つ作れば、リンクを共有するだけでチームメンバーも使えるようになります。

やり方はシンプルで、ChatGPTの画面から「GPTを作成」を選び、用途に合わせた指示と参考資料を登録するだけ。作成したGPTsは「リンクを知っている人だけ」に公開範囲を設定できるので、社内だけで使い回せます。

AIに詳しくないメンバーでも、完成したカスタムGPTに質問するだけで高品質なアウトプットが出せる。属人化していたノウハウが、ツールとして残るわけです。

Claudeにも「Projects」という似た機能があり、プロジェクト単位でナレッジやプロンプトをまとめて共有できます。

ただし、この方法には制約もあります。カスタムGPTを作る側はChatGPTの有料プランが必要ですし、個人アカウントのままなので会社としての管理はしにくい。入力データの学習除外もオプトアウトが必要だったりと、セキュリティ面も万全ではありません。

「まずは手軽にノウハウ共有したい」段階では全然アリです。多くの企業ではこの段階でも問題ない気はします。

ただし、本格運用を考えると次の手を打ちたくなるはずです。

③Google Workspace + Geminiで環境を整える

もう少し整った形でAIを全社展開したいなら、Google Workspaceが有力です。

2025年1月から、Google Workspaceの有料プランにGeminiが標準搭載されました。追加費用なしでGmail、ドキュメント、スプレッドシートの中でAIが使えます。

すでにGoogle Workspaceを使っている会社なら、追加コストゼロで「全員がAIを使える環境」が手に入ります。

例えば、具体的にできるのは「Gmailで返信の下書きを自動生成」「ドキュメント内でAIに文章作成を手伝ってもらう」「スプレッドシートで関数やデータ分析をAIに任せる」「Meetでの議事録自動作成」など。

私自身、ChatGPTを解約してGeminiに寄せた経緯があるのですが、日常業務はGeminiで十分回ります。特にGoogle Workspaceとの一体感は他にはない強みです。

ただし注意点もあります。Business Starterプラン(月額約7ドル/人)だとGeminiアプリでのチャットが1日5回までと制限がかなりきつい。AIをしっかり活用するならBusiness Standard以上が必要です。

④自社専用のツールを作ってしまう

ここまで来て、「うちの業務に特化したAIの使い方がしたい」と感じたら、次の選択肢は自社ツールの開発です。

で、ここからが私たちIGSならではの提案になります。

「全員にAIの契約をさせなくても、社内用ツールを1つ作れば解決する」という考え方です。

どういうことか?

例えば、「社内向けのAIチャットボット」を自社サイトやSlack/ChatWorkに設置する。そうすれば、メンバーはブラウザやチャットツールからアクセスするだけでAIを使えます。個別にAIの契約をする必要はありません。AIのAPIを使って社内ツールを作る場合、契約が必要なのは「作る人」だけ。使う人はただ完成したツールを使うだけです。

実際、私たちIGSでもこの方法で複数のツール(社内用)を開発しています。

例えば、自社HP上のAIチャットボット。お客様からの問い合わせ対応を自動化しつつ、社内メンバーも情報検索に使えるようにしています。他にも、ChatWorkの未返信管理ツールや、SNS提案書の自動生成ツールなど。これらはすべて、利用者側はAIの契約不要で使えるツールです。

この方法の最大のメリットは、「自社の業務フローにフィットしたもの」が作れること。既存のSaaSだと「60%は合うけど40%はフィットしない」みたいなことがありますが、自社開発ならその40%も解決できます。

バイブコーディングの時代、こういったツールは数時間〜数日で開発可能です。月額何万円もかけて法人プランを契約するより、一度ツールを作ってしまった方が長期的にはコスパが良いケースも多い。

⑤最終的に足りなければ、法人プランを検討する

ここまで段階的に進めてきて、それでも「チーム全体で高度にフル活用したい」「管理画面で全員の利用状況を一括管理したい」「セキュリティ要件が厳しい」となったら、いよいよ法人プランの出番です。

ChatGPT Businessは月額30ドル/人(月払い)、年払いだと25ドル/人。最低2名から契約できます。カスタムGPTのチーム内共有、共有ワークスペース、入力データの学習除外がデフォルト。管理コンソールで利用状況も把握できます。

Claude Teamは月額25ドル/人(月払い)、年払いだと20ドル/人。こちらは最低5名から。Projectsの共有、SSO対応、管理ツールが揃っています。

どちらのサービスでも5人で月額125〜150ドル程度、10人なら250〜300ドル程度。人数が増えるほどコストは膨らみ、年間で数十万円規模になってきます。ここまでのステップを踏んだ上で「やっぱり全員にフルスペックが必要だ」と判断したなら、それはそれで正しい投資です。先に段階的に試しているからこそ、「本当に全員分必要なのか」「コア人材だけでいいのか」の判断がつくわけです。

自社は今どの段階?

整理するとこうなります。

  • 野良AI状態を解消したい:まず全員に同じAIを触らせる
  • ノウハウを展開したい:GPTsやProjectsをリンク共有
  • 業務全体にAIを組み込みたい:Google Workspace + Gemini
  • 特定業務をまるごとAI化したい:自社専用ツール開発
  • 全員にフルスペックのAI環境を整えたい:ChatGPT Business / Claude Team

いきなり最後に飛ぶ必要はありません。まずはコストゼロで始めて、必要に応じて次の段階に進む。この流れが、中小企業にとっては一番無理がないと考えています。

最後に

「全員にAIの契約をさせる」だけが正解ではありません。本当に必要なのは「AIの恩恵を全員が受けられる仕組み」です。

その仕組みは一気に作る必要はなく、段階的に整えていけばいい。しかも一気にコストをかける必要はありません。

「うちは今どの段階にいるのか」「次に何をすればいいか」が気になったら、お気軽にご相談ください。雑談レベルで構いません。

お問い合わせはこちら:https://www.i-gs.co.jp/contact

よくある質問

Q. 個人契約のまま社員にAIを使わせるのはダメ?

A. 絶対ダメではないですが、セキュリティリスクとナレッジの属人化が問題になります。まずは会社として使うAIを1つに統一するところから始めるのがおすすめです。

Q. Google WorkspaceのGeminiだけで十分?

A. 日常業務の「メール返信」「文章作成」「データ分析」程度ならWorkspace内のGeminiで十分です。本格的な開発や高度な分析が必要な場合は、自社ツール開発や法人プランを検討してください。

Q. カスタムGPTの共有って無料でできる?

A. カスタムGPTを「作る側」はChatGPTの有料プランが必要です。「使う側」はリンクがあればアクセスできますが、無料版だと利用回数に制限があります。

Q. まず何から始めればいい?

A. 「全員で同じAIを使う」と決めるところから。無料版で構いません。そこから先は社内の活用度を見ながら段階的に進めていけばOKです。

関連記事