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1人社長が、自分の「クローンAI」を作ってみた話

1人社長が、自分の「クローンAI」を作ってみた話
後藤 佑輔

この記事を書いた人

後藤 佑輔

IGS代表

大和証券・アクセンチュアを経て、2023年にIGSを設立。Claude Codeで自社業務の多くを自動化し、AI事業開発を行っている。

代表の後藤です。

1人社長をやっていると、良くも悪くも、判断がぜんぶ自分に集まってきます。

  • 事業をどうするのか
  • これはやるのかやらないのか
  • このクオリティは世に出していいか

中小規模の経営者にであれば、皆さん似たような状況かと思いますが、「人を増やせば楽になる」というものではありませんよね。逆に、増えた分だけ「判断待ち」が増えるだけだったりします。

クローンをつくろうと思ったきっかけ

弊社は普段、Claude Codeに「記事の執筆から経理、SNS運用までほとんどの作業を任せています。

しかし、ある時ふと思いました。

もう何千回、何万回とClaude Codeとやり取りしてきたし、ほとんどの業務を自動化してきたし、多くのツールも開発してきた。

その中で、私が「どんなレビュー」をして、「何を承認」して、「何を却下」してきたのか。

そのやり取りはずっと積み上がっているはずなのに、AIの出してくる成果物は、いつまでも「自分の判断基準に完璧に近づいた」ものにならない。

と。要するに「私の判断基準が、きちんと有効活用されていないんじゃないか」と考えました

これが、自身のクローンを作ることにした原点です。

どのようにクローンを作ったのか

やったことは単純です。今までAIとやり取りしてきた履歴をさかのぼって、「私が実際に何を承認し、何を却下し、なぜそう判断したか」を、片っ端から拾い集めました。

流れにするとこうです。

  • 過去の判断(承認したこと・却下したこと・その理由)を、AIとのやり取りからひたすら集める
  • 似たような判断をまとめて、「後藤さんならこう考える」という判断の型として整理する
  • 普段の作業をするAIに、その判断の型をいつも持たせておく
  • 特に重い判断の前には、別のAIにもう一度「後藤さんならどう見るか」でチェックさせる

一言でいうと、私の頭の中を想像で再現したのではなく、私が実際にやった判断そのものを教材にした、ということです。

クローンを作った効果は?

実際に効いた場面があります。

公開しているサイトの中に

アクセスは増えているのに、クリック数が出ていないページ

が何本かありました。

ふつうにAIに相談すると「まず1本だけ手を加えて、効果を確認してから広げていきましょう」と返ってきます。悪くない提案だとは思いますが、スピードを第一優先している私には、その提案に合意はできません。

でも、クローンの判断軸を通すと答えが変わりました。

サイトに追加する作業はするが、何かを削るわけじゃない。つまり「減るリスクは実質ゼロ」のはず。なので、検証を待たず、今すぐ実行すべき。

これは、私が実際に何度も下してきた判断にかなり近いものでした。

損をする可能性がないなら、確認より先に動く」、つまり「リスクとリターンを鑑みて動く」ことは、私の中では当たり前なのですが、AIにとっては当たり前ではなかった。教科書的には「まず検証」の方が正解に見えるので。

クローンも間違える

正直に書きます。当然、クローンでも完璧ではありません。

先日、「他社からの”紹介”や”被リンク”が増えそうなツールを公開しよう」という案を検証していたら、AIが「これは営業行為だから、うちの方針とは合わない」と、勝手に却下しかけたことがありました。

しかし、実際の私の方針は「こちらからゴリゴリとしたアウトバウンド営業はしない」であって、「ツールを公開して自然に見つけてもらう」ところまで禁止しているわけではありません。単語だけ見て、意味をはき違えていた、というわけです。

このズレに気づけたのは、AIに判断の理由を隠さずオープンにさせる設計にしていたからです。もし結論だけが「却下です」と出てきていたら、良い施策がなぜか消えていることにすら、私は気づけなかったと思います。

分身を作る意味は、間違えなくすることではなく、ズレたときにそれが見えるようにすることなんだと思います。これから自身のクローン化を検討されている方は「必ず判断の根拠を提示させる設計」をお勧めします。

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それでも、自分で決めること

誤解してほしくないのですが、これは「完璧なクローンが働いてくれる」という話ではありません。

  • 販売価格をどうするか
  • まだやったことのない新しいことに手を出すか
  • 消す、公開するなどやり直しがきかない操作をするか

上記判断は今でも必ず、私のところに確認が来ます。

クローンの判断軸そのものに「重要判断は止まって聞く」という私の仕組みを作っているので、そこは変えていません。

任せる仕事とAIには任せない仕事の線引きも、このクローンに対して適用しています。

渡しているのは判断の答えではなく、「判断軸」です。

軸を渡した分だけ、確認なしで動いていい範囲が少しずつ広がった。そういう話です。

同じように「判断が全部自分に集まって身動きが取れない」と感じている1人社長・経営者の方は、お気軽にご相談ください。弊社で実際にやってみた分だけ、雑談レベルでお話しできます。

FAQ

Q. AIクローンって、結局は自分の代わりに全部判断してくれるということですか?

A. いいえ、そうではありません。日常の細かい判断は任せられる範囲が広がりますが、価格を決める、初めてのことに挑戦する、削除や公開など後戻りできない操作は、今でも必ず私(人間)が確認します。判断の答えでなく軸を渡している、というのが正確な言い方です。

Q. 明日から自分でもできることはありますか?

A. あります。まずは、自分が承認したこと・却下したこととその理由を、簡単でいいのでメモに残すことです。弊社の場合、これを積み重ねたものがAIクローンの元になりました。記録がなければ、そもそも学ばせようがありません。

Q. 特別なシステムを作らないとできないんですか?

A. 弊社はClaude Codeというツールの中で、過去のやり取りやメモを読み込ませる形でやっています。大掛かりな開発は必要なく、「過去の判断を記録して、AIに参照させる」というのがやっていることの本質です。

Q. AIが間違った判断をしたら、どう気づくんですか?

A. AIに理由を隠さずに出させることです。結論だけでなく「なぜそう判断したか」が見える形にしておくと、ズレたときに人が気づいて直せます。弊社でも実際に判断がズレたことがあり、それに気づけたのはこの"見える化"のおかげでした。

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