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この記事の著者
後藤 佑輔
IGS代表大和証券、
代表の後藤です。
弊社ではこれまで、Claude CodeでAIエージェント(AI社員)を作ってきました。今は12部署の24名に、チェックを担当する3名を加えた計27名で動いています。
しかし、実際に何体も作ってみて、気づいたことがあります。
AIエージェントは、「作る前に何を決めたか」によって、ほとんど成否が決まる
つまり、設計の話です。
今回は、弊社が24名分を作る中で実際にぶつかった話をもとに、作る前に決めておいた方がいいことを4つにまとめます。技術の話ではなく、経営者としての判断の話です。
①「人とAI」それぞれ何をどこまで担当するのか
最初に決めたのは、「線引きの基準」です。
事業戦略の議論もAI社員にやらせています。市場や自社の数字を調べさせ、そこから選択肢を出させ、優先順位をつけさせる。
それだけでなく、出てきた案に対して「本当にそれでいいのか」と私の判断基準に照らして反論させる仕組みもあります。
その代わり、私(人)が握るのは最終的な決定だけです。
特に、
- 価格設定
- 投資・撤退
- 課金・公開・削除
などの、後から取り消せない重要な意思決定は、必ず人間である私の承認を経てから実行する。
組織を作り直すとき、最初にこの線を引きました。
上記は当然のように感じられるかもしれませんが、AI活用に慣れてくると「AIに判断を任せがち」になってしまうので、ここだけは確実に握るよう気を付けましょう。
任せる仕事と握る仕事の線引きは、こちらの記事で詳しくまとめています。
②「各AI社員」が何をどこまで担当するのか
AIと人間の線引きが決まったら、次はそれぞれのAI社員と人間の「線引き」を決めます。
具体的には、AI社員に職務内容を明示(ファイルに記載)するのですが、タスクの箇条書きでは書きません。
ではどうするのか?それは、
「こういう課題には、こう考えて対応する」という2〜3行の判断基準
で書きます。
タスクの箇条書きのように細かく列挙すると、「書いていないことは一切やらない」という硬直したAI社員になるからです。
例えば、経理担当のAI社員には、「書き換えが必要な処理が出てきたら、実行せず私に判断を戻す(エスカレーションする)」と定義しています。この境界を先に決めておくことが、次の権限の設計にもそのままつながります。
AIコンサルティング
この記事の仕組みを、
③ミスを防ぐ「権限」と、ミスに気づく「検知」の仕組み
各AI社員の担当が決まったら、次にやることは2つです。
- そもそもミスをさせない
- ミスが起きたときに気づけるようにする
どちらも、何か起きてから塞いでいては間に合わないので、事前に決めておきます。
まず、ミスをさせない方から。
「お金や機密情報を扱う業務」は、他より権限を厳しく絞ります。
例えば、経理担当のAI社員に会計ソフトのfreeeをつないだ時の話。
事前に気づくことができなかったのですが、書き込みや削除まで届く作りになっていました。すぐに「読み取り専用。書き込みと削除は禁止」と職務内容に書き足しました。
この制限は今もそのまま入っています。
次に、ミスに気づく方です。
いくら権限を厳しく絞って、ミスを防ごうとしても、それだけでは足りません。
なぜなら、
AIは自分の失敗を自分から報告しない
報告してきても、それが正しいとは限らない
という特性を持っているから。
なので、人が見て気づくことに頼らず、機械が検知する仕組みを先に作ります。
弊社では下記3つの仕組みがあります。
- 作業の区切りごとに、やった内容を自動でチェックしてから次に進める
- 削除や公開など、取り返しのつかない操作は、人の許可なしにできないようにする
- 後から追いかけられる記録を残す
なぜここまでやるのか。弊社で実際に起こった話をします。
AIが更新した記事を、私が同じタイミングで管理画面から編集して保存してしまい、2つの編集がぶつかって、AIの更新のほうが消えたことがありました。気づけたのは、たまたま私がその瞬間に画面を見ていたからです。
気づけるかどうかを運任せにせず、きちんと仕組み化をする
業務をAI任せにするのではなく、人間側で仕組み化をして「手綱を握る」ことが重要です。
④「AI社員を動かす順序」を決める
設計ができても、いきなり全部を動かしません。
まずは「テスト用のAI社員を1体だけ」作り、既存の仕組みが壊れないかを確認します。それから本番の24体に進みます。
本番投入後も、24体全部を一度に動かしたわけではありません。
最初は経営企画・コンテンツ・データ分析の3体だけを実際に呼び出し、「自分は誰で、どの部署で、何をする担当か」を正しく実行できるかを確認しました。
「1体目に何をやらせるか」は、失敗した時の被害の大きさを決めます。会社のメイン業務や、お金・機密情報が絡む仕事から始めるのは避けた方がいいです。
最後に
ここまで書いた4つは、それぞれ独立した決め事に見えるかもしれません。
しかし実際には、すべて1枚の全体設計の一部でしかありません。
作ってから直すのではなく、作る前に「設計図」を描く
それが、24人分作ってみて一番効いたことです。作り方そのものは、別記事でまとめています。
AI社員を作る前に、組織全体の設計をどう描けばいいか整理したい方は、お気軽にご相談ください。弊社の実例をもとに一緒に考えます。
よくある質問
Q. AIエージェントを作る前に、決めておくことは何ですか?
A. 次の4つです。人とAIの担当の線引き、各AI社員の担当範囲、権限と検知の仕組み、動かす順序です。
Q. AIに任せてはいけない判断はありますか?
A. あります。価格設定、投資・撤退、課金・公開・削除のように、後から取り消せない決定は、人が承認してから実行するようにしています。
Q. AI社員一人ひとりの担当範囲は、どう決めますか?
A. タスクを箇条書きにせず、「こういう課題には、こう考えて対応する」という2〜3行の判断基準で書きます。細かく列挙すると、「書いていないことは一切やらない」硬直したAI社員になるからです。
Q. AIがミスをした時、どうすれば気づけますか?
A. 人が見て気づくことに頼らず、機械が検知する仕組みを先に作ります。弊社では、作業の区切りごとの自動チェック、取り返しのつかない操作の許可制、記録を残すことの3つを入れています。
Q. AI社員は、どれから動かせばいいですか?
A. まずテスト用のAI社員を1体だけ作り、既存の仕組みが壊れないかを確認します。1体目は、失敗した時の被害が小さい仕事から選び、会社のメイン業務や、お金・機密情報が絡む仕事から始めるのは避けた方がいいです。







