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この記事の著者
後藤 佑輔
IGS代表大和証券、
こんにちは、代表の後藤です。
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最近、「ハーネスって今後は不要になるのでは?」という投稿を、SNSでよく目にするようになりました。AIを深く活用できている方にとっては主流なのでは?と感じるくらいです。
一方、私が経営者向けのAI顧問を行う中で感じるのは、むしろハーネスの整備不足です。
例えば、
- AIがどのファイルを参照しているのか把握できていない
- 作業ディレクトリやフォルダ構造が整理されていない
- 指示ファイル(AGENTS.mdなど)が適切に配置されていない
など、AIの能力を引き出すための土台すら整っていないケースが少なくありません。
というより非常に多いです。
そのため、現時点のスタンスでは、ハーネスの整備は重要だと考えています。
ただし、AIがこれだけ賢くなった今、「人間が細かく行動を制御すること自体ナンセンスではないか」という考え方にも一定の合理性を感じています。
そこで今回は、ハーネスは本当に不要になるのか。
この点を考えてみたいと思います。
そもそもハーネスとは何か
ハーネスとは、
AIエージェントが適切に動作するための「実行環境」や「制御の仕組み」
のことを言います。
例えば、Claude CodeなどのAIエージェントであれば、
- 指示ファイル(CLAUDE.md、AGENTS.md)
- ツール接続(MCP、API)
- 参照先の管理(作業ディレクトリ、フォルダ構造、参照ファイル指定)
- 検証の仕組み(Hooks)
- 手順の定義(SKILL.md)
などが該当します。
要は、AIにどのような情報やツールを与え、どのようなルールのもとで仕事を任せるか。
その環境を整える仕組みです。
このハーネスを設計・整備することを『ハーネスエンジニアリング』と呼びます。
これらを説明すると「?」となってしまう経営者も少なくないですが、こうした仕組みを整備することで、AIの精度や再現性を高められるケースが多い。そう捉えているのが現状です。
なぜハーネスが不要と言われているのか
では、なぜ「ハーネスが不要」という意見があるのか。
そこには大きく2つの理由があると考えています。
①人間が作った「業務プロセス」が、AIにとって最適とは限らない
AIに仕事を任せる時、人間は「進め方」、つまり「業務プロセス」を設計します。
どの順番で進めるか、どこで確認するか、どの役割に分けるか。先ほど挙げたハーネスのうち、手順の定義(SKILL.md)や指示ファイル(CLAUDE.md)は、まさにこの進め方を書く場所です。
ただし、この進め方は、「自分ならこうやる」という人間基準で組まれています。
例えば資料作りなら、人間は「構成を決めて、下書きを作って、確認して、修正する」という順番で進めます。人間はやり直しに時間がかかるので、一度でクオリティの高いものを作る前提の進め方になっているわけです。
なので、AIにも同じ順番で指示する。
私もSKILL.mdを書く際は、自分がやる順番をそのまま書いていました。
しかし、AIにとって最適な進め方は、人間と同じとは限りません。
- 先に案を何個も作って比べる
- 関係する資料を全部読んでから構成を決める
- 確認で指摘が出たら、直すのではなく最初から作り直す
どれも、人間なら時間がかかりすぎてやらない進め方ですが、AIにとってはほとんど負担になりません。そして、その方が良い結果になることも十分あり得ます。
ところが、人間が進め方を決めてしまうと、AIはその範囲でしか動けません。人間の発想の上限が、そのままAIの上限になってしまうわけです。
②AIに判断させる方が、性能が高くなる領域が増える
少し前まで、AIに任せると品質が安定しない仕事は多くありました。
例えば、AIに「提案書作っておいて」とだけ指示すると、内容も突飛で、どこから取得してきたのか分からない、エビデンス不明の怖い数字が記載されたアウトプットが出てくる。
そのため、「この順番で進めて」「この形式で出して」「ここで必ず確認する」と人間が手順を決めることで、品質を保ってきました。
しかし、モデルの進化によって、資料の構成を考える、調べた内容を整理する、プログラムの設計を決めるなど、体感としてAIに判断を任せた方が良い結果が出る仕事が増えています。
さらに、重要な観点としては「ハーネスは増えるだけになりやすい」という点があります。
AIが失敗するたびに、「今後失敗しないように○○して!」と伝え、確認のルールを足し、チェックを必須にする。一つひとつは合理的なのですが、そのルールは残り続け、複数存在することになり、陳腐化するものも増える。
これが、いわば「ハーネス負債」です。
AIの能力不足を補おうとして作った仕組みが、いつの間にかAIの能力を制限する仕組みに変わってしまう。これが、ハーネス不要論の本質的な論点だと考えています。
AIコンサルティング
この記事の仕組みを、
今後、ハーネスをどう設計すべきか
結論、人間が手順を細かく決めるのではなく、「人間はゴールだけを決めて、進め方はAIに任せる設計」に変わっていくものと考えています。
人間が決めるのは、下記の3つくらいで十分になると考えます。
- 目的:何を達成したいのか
- 品質基準:どうなったら合格なのか
- 禁止事項:公開・削除・お客様の情報の扱いなど
その上で、大事なことが2つあります。
1つ目は、AIが判断できる環境を整えることです。
どのファイルを見ればよいのか、会社のルールはどこにあるのか。
ここが整っていないと、ゴールを渡してもAIは正しく判断できません。冒頭で書いたように、多くの経営者はまずここからスタートすべきです。
2つ目は、ハーネスを定期的に見直すことです。
モデルが新しくなるたびに、「このルールはまだ必要か?」を確認する。私も2026年11月に、棚卸しを行いました(かなりダイエットしました)。
ハーネスは、一度作ったら終わりではありません。
作って、減らして、また整える。
今後は、ハーネスを作れることだけでなく、不要になったハーネスを取り除けることも競争力になるはずです。
AIが適切に判断できる環境は整える。
しかし、判断そのものは必要以上に縛らない。
これが、私の考える今後のハーネス設計です。
自社・ご自身のハーネスがどの段階か、まず何を整えればよいかを整理したい方に向けて、30分の無料相談を行っています。協業のご相談でも構いません。お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. ハーネスとは何ですか?
A. ハーネスとは、AIエージェントが適切に動作するための「実行環境」や「制御の仕組み」のことです。AIにどのような情報やツールを与え、どのようなルールのもとで仕事を任せるか、その環境を整える仕組みを指します。
Q. ハーネスの具体例には何がありますか?
A. Claude CodeなどのAIエージェントであれば、指示ファイル(CLAUDE.md、AGENTS.md)、ツール接続(MCP、API)、参照先の管理(作業ディレクトリ、フォルダ構造、参照ファイル指定)、検証の仕組み(Hooks)、手順の定義(SKILL.md)などが該当します。
Q. ハーネスエンジニアリングは今後不要になりますか?
A. 現時点では不要ではなく、ハーネスの整備は重要だと考えています。ただし今後は、人間が手順を細かく決めるのではなく、ゴールだけを決めて、進め方はAIに任せる設計に変わっていくと考えています。
Q. ハーネスが不要と言われるのはなぜですか?
A. 大きく2つの理由があると考えています。1つは、人間が「自分ならこうやる」という基準で決めた進め方が、AIにとって最適とは限らないことです。もう1つは、モデルの進化によって、AIに判断を任せた方が良い結果が出る仕事が増えていることです。
Q. ハーネスは何から整えればよいですか?
A. 多くの経営者は、まずAIが判断できる環境を整えるところから始めるべきです。どのファイルを見ればよいのか、会社のルールはどこにあるのかが、AIに分かるようにします。また、モデルが新しくなるたびに「このルールはまだ必要か?」を確認して見直します。







