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この記事の著者
後藤 佑輔
IGS代表大和証券、
こんにちは、代表の後藤です。
※業務改善とAI顧問を、月10万円から月額で継続支援します → 後藤、貸します。
昨今、AIはビジネスシーンだけでなく、日常的に広く使われるようになりました。
そんななか、
「AX」
という言葉の認知が広がってきたように思えます。
ただ、調べて出てくるのは「国の資料」や「大会社の話」ばかりで、従業員が15名程度の中小企業だと、
「うちの会社にあてはめるとどうなの?」
「中小企業は実際、どのようにAX化を進めるべきなの?」
という疑問が生じると思います。
そこで今回は、「中小企業におけるAX化5つのフェーズ」と、「特に注意すべきポイント」をお伝えします。
5つのフェーズの全体像
まず、従業員15名程度の会社を想定して、下記の5つに整理しました。
フェーズ | タイトル | 具体的な取り組み | 到達の目安 |
|---|---|---|---|
01 | 経営者のAI活用 | 社長自身がAIを有効活用する(資料作成・経営相談・提案書作成などを実践) | 自社でAIを使えそうな業務を、具体的に判断できる |
02 | 個別業務の効率化 | 営業資料・議事録・バックオフィス・見積作成など、効果の大きい作業から改善する | 2〜3業務で、工数削減や品質向上の実績が出ている |
03 | 業務プロセスの再設計 | 業務の棚卸し、今の流れ(As-Is)とあるべき流れ(To-Be)の設計、既存システムとの連携、AIによる処理の自動化 | 一連の業務が、AI込みの新しい流れで回っている |
04 | 全社展開・組織への定着 | 部署ごとの展開・社員教育・利用ルール・マニュアル整備・利用状況の評価 | 特定の担当者に頼らず、複数の部署で続けて回せる |
05 | AI前提の経営・事業変革 | AIエージェントによる業務の遂行・人の役割分担の変更・新サービス開発 | AI活用が、利益率・提供価値・事業の形の変化につながっている |

右端の「到達の目安」を見れば、貴社の現在地が分かります。
「AX化への取り組みをやっている」企業はかなり多くなっていると思いますが、「到達点まで達しているかどうか」を確認できている中小企業はまだ多くないと思います。まずは、貴社が今どのフェーズなのかを明確にしましょう。
フェーズ01:経営者のAI活用
~全社員が「ChatGPTを使えるだけ」では、AX化とは言わない~
フェーズ1は、「社長自身がAIを使い、どの自社業務にAI活用できるか判断可能になる段階」です。
その前に押さえておきたいのが、そもそもAXとは何かです。
AXとは、AIトランスフォーメーションの略で、AIを使って会社を変えること
を指します。
たとえば、全社員がChatGPTを使えるようになったとします。それ自体は良いことですが、それだけでAXとは言いにくいと私は考えています。
AXの本質は、AIを使う人を増やすことではありません。AIで、業務の進め方・組織の役割・稼ぎ方を変えることです。
なお、「AX」で調べると、国の会議資料にも、松尾研(東京大学の研究室)による5段階(AX1〜5)が出てきます。ただ、独自AIの開発など、大企業向けの段階まで含んでいます。この記事は、中小企業が実際に進める順番で整理しました。
フェーズ02:個別業務の効率化
フェーズ03:業務プロセスの再設計
~この2つは何が違うのか~
5つのフェーズの中で、一番迷うのがここです。
どちらも「AIで業務を改善する」ので、同じに見えます。
違いは、「提案書作成の例」で見ると分かりやすいです。
・フェーズ2は、作業を速くする
営業担当者が、商談メモをChatGPTに入れて、提案書の下書きを作ります。
これまでは0から文章を考えていたため2時間かかっていたものが、ChatGPTに下書きを作成してもらえるので30分に短縮。このようなイメージです。
ここでは「提案書を作る作業の一部にAIを使っているだけ」です。もちろんこれも立派な成果で、フェーズ2の目安である「2〜3業務で実績が出ている」はこの積み重ねです。
・フェーズ3は、業務の流れ自体を作り直す
こちらは、「提案書の作成」という1業務だけでなく、「商談から顧客送付までの流れ全体」を見直します。
従来の流れは、下記のとおりです。各工程を、担当者が手作業で進めています。
- 商談の実施
- 議事録の作成
- 提案書の作成
- 上長の確認
- 顧客へ送付
これをAI前提に組み直すと、こうなります。
- 商談終了
- AIによる議事録の自動生成
- AIによる顧客情報の更新
- AIによる提案書の下書き作成
- 人による提案書の内容確認・承認
- (承認後)AIによる顧客への送付と顧客管理の更新
変わったのは、1つの作業が速くなったことではありません。
議事録の作成も顧客情報の更新も、担当者が手で進める作業ではなく、商談が終わるとAIが自動で進める工程となっています。
ただし、内容・価格を人が見て承認する工程と、例外発生時の扱いは、必ず残してください。
ここを外すと、誤った提案書がそのまま顧客に送られてしまい、信頼の低下に繋がってしまいます。
まとめると、下記の違いです。
フェーズ2は、今の業務の一部にAIを使うこと
フェーズ3は、AIがある前提で業務の流れを設計し直すこと

弊社が組んだ、フェーズ3の例
「流れを作り直す」と言われても、イメージしづらいと思います。
そこで、弊社の例を挙げます。
- FAX・PDFの注文書を読み取り→受注一覧に転記する
→注文書30枚を71秒で処理(注文書の読み取り) - 定例会議の文字起こし→議事録と管理表の更新案を作る
→60分の会議を約1分で処理(議事録と管理表) - 請求書PDFの受け取り→支払一覧に自動で登録する
→30枚を16秒で処理(請求書の登録) - 予約の通知を1つの予約表にまとめる→前日の連絡文まで作る
→78件を約2分で処理(予約表と連絡文) - GA4とSearch Consoleの数字を、毎朝Chatworkへ報告する
→約7秒(毎朝の報告) - スマホの打刻→勤怠の集計と給与ソフト用のデータを作る
→40人の1か月分を1秒未満で処理(勤怠と給与データ)
共通しているのは、AIに文章を作らせて終わりにしていない点です。
読み取る、転記する、知らせる、まとめるなど、一連の流れをAI化しています。
そして、価格違いや振込先の変更のように人が確認すべき箇所は、AIが知らせて人に渡します。
先ほどの提案書の例で、人間による承認工程を残したのと同じ考え方です。
AIコンサルティング
この記事の仕組みを、
フェーズ04:全社展開・組織への定着
フェーズ05:AI前提の経営・事業変革
~この2つの考え方~
フェーズ4は、フェーズ3で作った流れを会社全体に定着させる段階です。
15人規模の中小企業は部署が少ないので、フェーズ3と4は並行して進むことが多いです。
一方、フェーズ5は、AIエージェントが業務を進め、人の役割分担が変わり、新しいサービスも生まれる段階です。
ただし、全ての中小企業がすぐにフェーズ5を目指す必要はありません。私は、フェーズ3〜4だけでも経営に十分な効果が出ると思っています。
国の資料で見る、中小企業の現在地
ここで、ほかの中小企業のAX化がどこまで進んでいるかも見ておきます。
中小企業庁の資料「中小企業におけるAX推進の方向性」(内閣官房 AX会議 第1回、2026年10月21日)では、AI活用に取り組んだ中小企業は30.3%でした(5,645件の回答)。資料の言葉では「3割にとどまる」です。
AIを活用していない企業にその理由を聞くと(3,888件の回答)、下記のようになっています。
- 活用する業務がイメージできていない:63.4%
- 活用を推進する人材が不足している:40.0%
- 社内ルール・ガイドラインが整備されていない:26.2%
- セキュリティ・情報漏えいへの不安がある:14.5%
- 必要な予算を確保できない:13.8%
一番多いのは、予算でも人材でもなく「活用する業務がイメージできていない」でした。
つまり、どのフェーズかを考える以前に、「自社のどの業務にAIが使えるのか」を、具体的に思い浮かばない会社が多い、ということだと思います。
まず何から始めるか
では、明日から何をすればいいのか。
まずはフェーズ1です。
社長自身が、資料作成や経営相談、提案書の作成にAIを使ってみてください。ここで「この業務ならAIが使えそうだ」と判断できる状態が、フェーズ1到達の目安です。
その後、「効果の大きい作業」を特定し、フェーズ2で1つずつ試していきます。
どの作業から試すかの具体例は、この記事で整理しています。そして、フェーズ2で試すうちに「ここは流れごと変えたほうがいい」と分かった業務を、フェーズ3で作り直します。
フェーズ1〜2であれば、「AIの使い方を教える」だけで、ある程度完成します。
しかし、弊社が大事にしているのは「AIを組み込んだ業務を仕組み化して動かす」ことです。
業務単位でAIを導入する場合はAIコンサルティング、業務改善やAI顧問の支援を月額で続けて受けたい場合は後藤、貸します。で対応しています。
AX化の進め方や、自社が今どのフェーズかを一緒に整理したい方は、お気軽にご相談ください。雑談レベルで構いません。
よくある質問
Q. AX(AIトランスフォーメーション)とは何ですか?
A. AIを使って、業務の進め方・組織の役割・稼ぎ方を変えることです。AIを使う人を増やすことではなく、仕事の流れそのものを変える点が本質です。
Q. 中小企業のAX化はどんな順番で進めますか?
A. 5つのフェーズの順に進めます。経営者のAI活用、個別業務の効率化、業務プロセスの再設計、全社展開・組織への定着、AI前提の経営・事業変革です。特に迷いやすいのは、作業を速くするフェーズ2と、流れを作り直すフェーズ3の違いです。
Q. 中小企業でもAX化はできますか?
A. できます。この記事の5つのフェーズも、従業員15名程度の会社を想定して整理しています。なお、中小企業庁の資料では、AIを活用している中小企業は3割にとどまっています。
Q. AX化は何から始めればいいですか?
A. 社長自身がAIを使うことから始めます。資料作成・経営相談・提案書の作成などに使い、自社でAIを使えそうな業務を具体的に判断できる状態を目指します。AIを活用していない理由の1位が「活用する業務がイメージできていない」(63.4%)なので、最初にここを解消するのが近道です。
Q. AX化の事例はありますか?
A. 注文書の転記、議事録と管理表の更新、請求書の支払一覧への登録、予約表と連絡文の作成、毎朝の数字の報告、勤怠の集計などが挙げられます。







