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中小企業のAI導入は何から始める?失敗しない進め方と具体例

中小企業のAI導入は何から始める?失敗しない進め方と具体例
後藤佑輔

この記事の著者

後藤 佑輔

IGS代表

大和証券、アクセンチュアを経て、2023年にIGSを設立。Claude Codeと共に、一部Meta公式APIを使用した6つのWebサイトの開発・運用から、SNS投稿の完全自動化、バックオフィス自動化などを一人で行う。開始9か月で検索からの訪問は累計1万クリックを超え、「Claude AIエージェント 作り方」ではGoogle検索1位を獲得した。

後藤、貸します。後藤本人に会社の仕事を頼むサービスを見る

代表の後藤です。

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「AI導入、うちは何から始めればいいのか」。この相談を受けたとき、多くの会社がすでに調べ終えているのは、どのAIを契約するか、という話です。ChatGPTなのか、Geminiなのか、Claudeなのか。月額はいくらか、どれが賢いか。

ただ、ツールを決めるのは3番目でいい、というのが弊社の考え方です。

弊社は非エンジニアの会社です。それでも自社サイトを6つ(サイト採点くん、SNSはじめるくん、家じまいくん、無料AIツール集、Free Marketing Tools、Free Tegami Tools)、企画から公開、運用まで自分でやっています。会社のブログは88本、Claude Codeの使い方をまとめたTipsは65本を公開しています。この記事は、その過程で分かった「決める順番」をそのまま書いたものです。

AI導入で最初に決めること

ツールの比較から入ると、たいてい数か月が過ぎます。理由は単純で、比べる基準が手元にないからです。どれが自社に合うかは、何をやらせるかが決まって初めて判断できます。

AI導入で最初に決めるのは、どのツールを使うかではなく、どの作業を自分の手から離すかです。

決めることは3つあります。

① 手放す作業を1つ選ぶ

「経理を効率化したい」は、まだ作業になっていません。「毎月5日に、届いた請求書の内容をシートに書き写している作業」まで下ろします。誰が、いつ、何分かけているか。ここが言えるところまで具体的にします。作業を1つに絞るのは、増やすのがいつでもできるからです。

② 手放せたと判断する条件を決める

「便利になった」では判断できません。「この作業を自分がやらなくなった」「かかっていた時間が半分になった」のように、あとから○×を付けられる形にしておきます。この条件がないと、続けるか止めるかを決められません。

③ 誰が最終判断をするか決める

AIが出したものをそのまま使うのか、誰かが見てから使うのか。ここを決めないまま始めると、出てきたものを誰も確認しないまま置かれ、そのうち誰も開かなくなります。

弊社がいま毎日または毎週AIに回しているのは、毎朝の定型処理、KPIの週次集計、記事の内部リンク点検の3つです。共通しているのは、毎回発生することと、手順が決まっていることの2点だけです。特別な作業は入っていません。

明日できることを1つ挙げるなら、直近1週間の自分の予定表を開いて、同じ手順を繰り返している作業に印を付けることです。印が付いた作業が、そのまま導入候補になります。

任せる仕事の選び方

印を付けた作業のうち、最初に回すものは次の3つの条件で選びます。

① 毎回発生する

月1回でも構いません。1回きりの作業は、任せる準備をするほうに時間がかかります。回数が多いほど、準備した手順が効いてきます。

② 手順を人に説明できる

入ったばかりの社員に口頭で説明できるなら、AIにも説明できます。説明できない作業は、AIに向いていないのではなく、社内でまだ手順が決まっていない作業です。ここは人が先に決める仕事になります。

③ 間違えてもすぐ戻せる

下書きを作る、候補を並べる、点検して報告する。このあたりまでは、間違いがあっても取り返しがつきます。最初に回すのはこの範囲からにします。

そして、任せない側も同時に決めます。弊社では、公開する、社外へ送る、お金が動く、消す。この4つは人の承認を必ず通す運用にしています。AIは下書きまで作りますが、最後のボタンは自分で押します。

たとえば弊社は、記事の内部リンクが切れていないかの点検をAIに任せています。おかしい箇所は報告として上がってきますが、直したものを公開するかどうかは、自分が見てから決めています。任せているのは点検であって、公開ではない、という切り分けです。

任せる範囲の線引きは、AI社員に任せている9つの仕事でも具体的に書いています。

明日できることは、候補を3つ書き出して、上の3条件に○×を付けることです。○が3つそろったものだけを、最初の1つにします。2つしかそろわない作業は、後回しで構いません。

ツール先行で失敗する理由

ツールから入ると、話が「使えるか、使えないか」になります。試してみて、便利そうだと感じて、契約する。ここまでは進みます。止まるのはその次です。誰の、どの作業が、いつからなくなるのかを決めていないので、翌月には元のやり方に戻っています。

残るのは契約だけです。

もう1つ、ツールを入れただけでは埋まらないものがあります。動いているかを確認する係です。

弊社で実際にあったことを2つ書きます。

1つは自社サイトのsitemapです。sitemapは、検索エンジンに「このサイトにはこういうページがあります」と伝える一覧のことです。新しく作ったページが、この一覧に登録されないままになっていました。点検して見つかったので、その場で直しました。仕組みを作った時点では正しく動いていて、後から増えたページで穴が空いた形です。

もう1つはLPです。1枚の画像で作ったLPが、開いたときに画面へ収まりませんでした。作ってから実際の画面で見て気づいたので、作り直しました。

仕組みは、作った日ではなく、作ったあとに壊れます。

どちらもツールの性能の話ではありません。作ったものが今も正しく動いているかを、誰がいつ確認するのか。それを決めていなかった、という話です。契約を増やしても、この係は埋まりません。

なので、決める順番はこうなります。① 手放す作業を決める ② 手順を書く ③ ツールを選ぶ。ツールが3番目なのは、後から替えられるからです。作業の選定を間違えると全部やり直しになりますが、ツールは乗り換えられます。

明日できることは、いま契約しているAIツールを並べて、「先月それで何の作業が消えたか」を1行ずつ書いてみることです。書けないものは、使われていないツールです。止めるか、使う作業を決め直すかの、どちらかになります。

小さく作って定着させる4ステップ

AI導入を小さく作って定着させる4ステップの流れ

作業が決まったら、次の順番で進めます。弊社が社内の仕組みを作るときも、この順番から外れると止まります。

① まず自分で1回、AIと一緒にやってみる

いきなり自動で回さず、画面を見ながら1回やります。ここで見るのは「速いかどうか」ではなく、「人がやったときと同じものが出てくるか」です。違うものが出てくるなら、手順の説明が足りていません。

② 手順を文章にする

①でうまくいったやり方を、そのまま文章にします。何を見て、どういう順で、どこまでやるか。ここで書いた文章が、そのままAIへの指示書になります。人が読んで分かる文章であれば十分で、専門的な書き方は要りません。

③ 週1回、その手順で3〜4回まわす

同じ作業を、同じ手順で繰り返します。3回か4回もやると、うまくいかない条件が見えてきます。件数が多い月だけ止まる、書式が違うと止まる、といった具合です。見つかったら手順書のほうを直します。

④ 自動で回し、動いているかの確認方法を決める

止まらなくなってから、決まった時刻に自動で動かします。このとき必ず一緒に決めるのが、動いているかどうかをどう確認するか、です。前の見出しに書いたsitemapの件は、ここを決めていなかったために起きています。

定着するかどうかを分けるのは、②で書いた手順書が会社に残っているかどうかです。手順が人の頭の中にあるうちは、その人が休むと止まります。文章にして共有フォルダに置いた時点で、はじめて会社の仕組みになります。

AI導入で残るのは、契約したツールではなく、書き出した手順書のほうです。

なお、①から④までを1つの作業でやり切るのに、弊社の感覚では数週間かかります。1か月で全社を変える計画を立てると、たいてい①で止まります。1つ回してから次に進むほうが、結局は速く進みます。

後藤、貸します。

会社の仕事を、後藤本人に頼めます

弊社はAIに何をやらせているか

ここまでの進め方を、弊社が実際にどう回しているかを書きます。

使っているのはClaude Codeです。日本語で頼むと、パソコンの中のファイルを読んだり書いたり、決まった時刻に処理を動かしたりしてくれるAIだと考えてください。弊社ではこれで社内の仕組みを作り、運用しています。私自身は非エンジニアで、コードを書けるわけではありません。

その中で使っているのが、役割ごとに担当を分けた「AI社員」です。サブエージェントと呼ばれる機能で、記事を書く担当、書かれたものを確認する担当、調べる担当、といった形であらかじめ定義しておき、仕事ごとに呼び分けます。

役割を分けているのには理由があります。1つのAIに全部やらせると、書いた本人が自分の文章を確認することになるからです。書く担当と確認する担当を分けると、書いた側が気づかなかった間違いが上がってきます。人の組織で、作った人とは別の人が検品するのと同じ考え方です。

この作り方はAIエージェントの作り方に手順としてまとめてあります。

成果として出ている数字も書いておきます。この運用で書いた記事のうち1本は、「claude aiエージェント 作り方」という検索語でGoogleの平均掲載順位が1.6位です。その記事だけで、3か月に1,529回クリックされました(2026年5月27日〜8月23日・自社のSearch Console実測値)。書く担当と確認する担当を分けたうえで、私が最後に見て公開する、という進め方で出ている数字です。

ここで持ち帰っていただきたいのは、Claude Codeを使ってください、という話ではありません。任せるときは1つに全部やらせず、作る役と確認する役を分ける。これはChatGPTでもGeminiでも同じで、会話を2つに分けるだけでも成立します。1つ目で作らせ、2つ目に「この文章の事実の間違いを指摘して」と渡す。それだけで、出てくるものは変わります。

自社でやるか、外に頼むか

ここまで読んで、「うちには手を動かす人がいない」と思われたかもしれません。その判断材料を書きます。

自社でやったほうがいいのは、次のような作業です。

  • 毎日・毎週発生する作業。回数が多いほど、社内に手順が残る価値が大きくなります
  • 何を出すかを会社として決める作業。判断そのものは外に出せません
  • 現場の人しか知らない例外が多い作業。手順を書けるのは中の人だけです

外に頼んだほうがいいのは、次のような場面です。

  • 立ち上げの設計。最初の1回だけ重く、そのあとは軽くなる工程です
  • 社内に手が空いている人がいない状態。学ぶ時間そのものが取れない場合、社内でやる案は計画倒れになります
  • つなぎ込みの設定など、非エンジニアだけでは詰まりやすい部分

外に出すかどうかは、作業が難しいかどうかではなく、社内に手を動かせる人がいるかどうかで決まります。

費用の見方も書いておきます。月額いくら払うか、だけで比べると判断できません。空いた時間で社長が何をするか、そこまで含めて見るほうが決めやすくなります。AI導入にかかる費用の内訳は中小企業のAI導入、実際いくらかかる?で整理しています。

外に頼むときに確認していただきたいのは2点です。1つは、作って納品して終わりなのか、運用が回り始めるまで見るのか。もう1つは、手順書が自社に残る形になっているか。この2つが抜けると、頼んだ側の会社に何も残らないまま契約だけが続きます。

「まず社内で勉強してから」と考える気持ちはわかります。ただ、本業を回しながら学ぶ時間を取るのは、実際には難しいところです。弊社も非エンジニアのまま、作りながら覚えてきました。動かしながら覚えるほうが、机上で学ぶより早いというのが実感です。

手を動かす人がいない場合

AI導入が止まる原因は、たいていツール選びではありません。決めることは決まっていて、手を動かす人がいない。この状態のまま数か月が過ぎている会社は少なくないと思います。

その受け皿として、弊社では「後藤、貸します。」という月額のサービスをやっています。IGS代表の後藤本人が、会社の実務を月額で引き受けるものです。集客・発信、Web・制作、AI・業務改善、事業・プロジェクト推進、経営・日常実務を、領域で切り分けずに横断して担当します。この記事に書いた「作業を決める、手順を書く、回して定着させる」の部分を、社内の人の代わりに進める形です。

料金は月10万円(税別)・月15時間から。受け入れは毎月10社までで、3か月一括のお申し込みは初月が半額になります。まずは30分の無料相談から、止まっている仕事を教えていただく形にしています。

サービスの詳細と相談フォームはこちらです。

後藤、貸します。

FAQ

Q. 社員が数人の会社でも、AI導入の効果はありますか?

A. 人数よりも、毎回同じ手順で発生する作業があるかどうかで決まります。週1回の定型作業が1つあれば対象になります。人数が少ない会社ほど、社長本人の時間が空くという形で効きます。

Q. 無料のAIから始めても大丈夫ですか?

A. 最初の1作業を試して判断するだけなら、無料のもので十分です。ただし社外の情報や個人情報を入れる可能性がある場合は、入力してよい情報の範囲を先に決めてから触ってください。ここだけは無料か有料かとは別の話になります。

Q. 社内でAIを使う人が増えません。どうすればいいですか?

A. 使う人を増やす前に、使う作業を1つに絞ってください。全員に配って自由に使ってもらう形にすると、使う人と使わない人に分かれたまま止まります。1つの作業で手順書を配り、その作業だけを全員が同じやり方でやる。増やすのはそのあとです。

Q. 一度入れたAIが使われなくなりました。やり直せますか?

A. やり直せます。弊社の場合は、ツールを替えるのではなく作業の選び直しから戻ります。使われなくなった作業を、この記事の3条件(毎回発生する、手順を説明できる、間違えても戻せる)に当てはめ直してみてください。欠けていた条件があれば、そこが止まった箇所です。

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大和証券、アクセンチュアを経て、2023年にIGSを設立。Claude Codeと共に、一部Meta公式APIを使用した6つのWebサイトの開発・運用から、SNS投稿の完全自動化、バックオフィス自動化などを一人で行う。開始9か月で検索からの訪問は累計1万クリックを超え、「Claude AIエージェント 作り方」ではGoogle検索1位を獲得した。

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